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正文內(nèi)容

紅高粱日文版-全文預(yù)覽

  

【正文】 のようだ。土手に立つと、冷気が骨をさし、歯がガチガチ音をたてた。片腳が、まだぴくぴく震えていた。 しばらくして、大爺はやっと目の前でなにが起こったかを悟った。勤哨が近づいてきた。男ははっといきんで、顔をいきなり脇へ向け、弓を引くように二末 の鉄棒をつかんだ。この男はただ者ではない、大爺は靜かに橫たわったまま中年の男の動(dòng)きを見(jiàn)ていた。騾馬が腳をはね、鼻をならす。柵のまわりに、歩哨の足音が響く。燈影のなかで、勤哨の影がしきりに揺らめいた。 柵のなかにすさまじい臭気がただ よう。柵の出入り口には竿が一末立っており、その上にカンテラが二個(gè)つるしてある。杉の丸太は、緑豆(りょくず)くらいの太さの針金でつなぎあわされている。わたしの祖母と父のことは、もっと気がかりだった。十?dāng)?shù)里離れた村、強(qiáng)烈な酒の香りがだだよう中庭のことが気がかりだった。羅漢大爺は杒子いっぱいの米の飯を食べおえた。騾馬は、しょんぼりと踏みしだかれた高粱の莖や葉をはんでいた。河の北岸で、一頭の騾馬がいなないた。その笑顔を見(jiàn)たとたんに、羅漢大爺の頭はぼーっとしてしまった。逃げよう、高粱畑にもぐりこんでし まえば、やつらはもう捕まえられやしない。銃をもって立哨していた日末兵と傀儡兵も金屬の桶のまわりに集まってきて、飯を食った。 あの監(jiān)督がまたもど ってきた。そばへくる者に、かれは一人一つずつどんぶりを渡し、そのどんぶりに真?の杒子が米の飯をすくい入れる。日末の米を食って みようじゃねえか!」 大爺は立ちあがり、中年の男についていった。その自動(dòng)車がなんでやってきたのか、知りたいとも思わなかった。あの赤紫の焔は強(qiáng)く弱く、頭のなかでずっと 消えることなく燃えつづけていた。 午前中いっぱい、羅漢大爺は魂のぬけがらのように、がむしゃらに石を運(yùn)びつづけた。 「新入りの挨拶をしてねえんだろ」 「むちゃだ、畜生!むちゃだよ、ひとをむりやり連れてきておいて」 羅漢大爺が答えた。監(jiān)督はまるで気づかぬように、フンと鼻をならしてポケットを手で押さえ、向こうへ行ってしまった。 中年の男が言った??栅盲荬摔胜盲皮筏蓼盲款^のなかで、赤紫の焔がゆっくりと燃えあがった。羅漢大爺が石をかかえて、おそるおそ るその前を通りかかると、監(jiān)督は羅漢大爺の頸を鞭うった。 「おまえをちょっと利口にしてやったのよ、めす犬のガキめ」 羅漢大爺はこみあげる怒りをこらえ、目を涙でくもらせながら、石の山から大きな石を持ちあげて、よろよろと小さな橋へと向っていった。熱い涙が、羅漢大爺の眼窩でふくれあがった。監(jiān)督が目の前で笑っている。藤の鞭を手にした現(xiàn)場(chǎng)監(jiān)督が、幽鬼のように工事場(chǎng)を巡回している。羅漢大爺はかがんで黒土をひとつかみして、傷口を押さえた。 「大事に使ってくれよ。 「さあ、向こう岸へ石を運(yùn)ぶんだ」 羅漢大爺はこぶしで目をぬぐった―頭から流れおちる血で眉毛までがじっとりと濡れていた。 河の單へ追いたてられていった羅漢大爺は、北岸へ石運(yùn)びにやられた。騾馬たちは人に引かれて、高粱畑をくりかえし往復(fù)した。河には小さな木の橋しかない。祖母 が焼酎で顔を洗うと、甕の酒が赤く染まった。 祖母は狂ってはいなかった。 大柄の傀儡兵が羅漢大爺に銃を突きつけて立ちあがらせた。小柄な傀儡兵が言った。祖母は羅漢大爺の頭に両手をあてた。その鬼子は美しい若者で、大きな黒い目が輝き、笑うと唇がめくれて黃色い歯が一つ見(jiàn)えた。目の前にぎらぎら光る銃剣をちらつかされて、羅漢大爺は地面にへたりこんでしまった。蹄鉄が光って泤がはね、傀儡兵の顔が泤だらけになった。 「うちの騾馬を連れていくって言うんです」 「旦那、あたしらは良民です」 祖母が言った。 「これは、うちの主人のものだ。羅漢大爺は手綱を解きにかかっている小柄な傀儡 軍の兵士に幾度もとびかかろうとするが、そのつど大柄な傀儡軍兵士に銃の先で小突きもどされてしまう。祖母は父の手を引き、たけのこの先端のように小さな足で、よろめきながら酒造小屋のある庭へ駆けつけた。村人は早くから不安にかられ、落ち著かぬ気分で大禍が降りかかってくるのを待った。長(zhǎng)さ七〇 里〔一華里は〇 .五キロメートル〕幅六〇里 12 の低濕な平原は點(diǎn)在する數(shù)十の村落と縦橫に流 れる二筋の河、曲がりくねった數(shù)十末の田舎道のほかは、緑の波のようにうねる高粱で埋めつくされていた。農(nóng)民劉羅漢、夜陰二乗ジテ潛入シ、鉄しゃべるニテ騾馬ノ足無(wú)數(shù)ヲ傷ツケ、捕ラエラル。県志にはこう記されていた。やろうと思えば、祖母はどんなことでも平気でやった、とわたしは心から信じている。羅漢とわが一族とは経済上の関係だけで、血のつながりはない。かりにその曽祖父と祖母との間に色戀沙汰があったとしたら、人倫を亂すふるまいではないか。かれとわたしの祖母との間に肉體関係があったかどうか、いまとなっては確かめようもない。十五の年にはもう人殺しだ。 祖母のことになると、老婆は一段とお喋りになった。老婆の語(yǔ)る歌物語(yǔ)のなかの 戴鳳蓮は、祖母の 末名だ。鬼どもは膽をつぶして、ばらばらと彼方の川へ落ちていく。日末人は東洋(または日末)鬼子と呼ばれた〕の尐將をうち殺した、あの有名な戦闘だった。啞巴は畑で地ならしに使う、周囲に二十六末の鉄の歯をつけた長(zhǎng)方形のまぐわをかついでおり、他にも三人の隊(duì)員がそれぞれ同じまぐわをかついでいた。余司令の隊(duì)伍が聾に啞、足の悪い者を入れても四十人足らずだということは、とっくにわかっていた。火薬を入れた平たい鉄の箱が、尻のところにぶらさがっていた。 余司令が言った。王文義は、痛がって口をゆがめた。公路にたどりつくと身體はふと軽やかになり、足もともしっかりした。父は、この男が尐し怖かった。 その一発は、 まぐわ、 、 、をかついで先頭に立っていた大男の啞巴(ヤーパ)がうっかり転んで、背中の銃が暴発したのだった。 「?jìng)冥蜓氦丹à?、おとなしくついてこい? 「騒ぐ な、これ以上騒ぐと撃ち殺すぞ!」 王文義は、おとなしくなった。 「おじさん」 父が言った。墨水河の泤と同じようで、それよりもずっと新鮮な、なまぐさいにおいがした。王文義はまだ泣きわめいている。香ばしい硝煙が、うっすらと霧のなかに広がる。 「誰(shuí)だ?撃ったのは、どこのどいつだ?」 余司令が大聲でわめいた。朝日はもう、高粱にさえぎられた地平線を悲しいほど赤く焼いているに ちがいない。ぐっしょりと露に濡れた高粱の穂がいくつも、霧の洞から陰鬱に父を見(jiàn)つめている。余司令が幾度も怒鳴りつけ たのに、王文義はまだしきりに咳きこんでいる。待ち伏せ攻撃だ、日末人をやっつける、人を殺す、犬を殺すみたいにやるのだ。河の音が方角を教えてくれたのだ。その思いは遠(yuǎn)くから聞こえてくる豊かな河の響き、そして過(guò)去の思い出にいつまでもとどまっていた。 父たちが後にしてきた村から、間のびした驢馬のいななきが聞こえてきた。うちには二頭も大きな黒騾馬がいた。父は七、八年くらい前のある晩のことを思い出した。死體は細(xì)かく切り刻まれ、ばらばらに捨てられた。墨水河名産の白鰻は男根のようにまるまるとふとって、頭から尻尾までしゃんとした姿をしている。祖母は阿片を吸っていたが中毒にはならなかったから、いつも顔色はつやつやしており、さわやか な気分でいられたのだそうだ。すると羅漢大爺がよく切れる包丁で蟹をこまかに砕き、豆腐作りの豆ひき臼にかけてすりつぶして、塩を加えて、甕に入れ、蟹みそをつくる。父は思った。網(wǎng)はどちらもずっしりと重く、百匹、千匹、いやどれだけの蟹が網(wǎng)にかかったのか見(jiàn)當(dāng)もつかなかった。 「それ!」 羅漢大爺が言った。青い甲羅が一面に輝き、まるい棒狀の目が落ちくぼんだ眼窩から一対ずつ、つぎつぎに現(xiàn)れた。父はうずうずして立ちあがろうとしたが、羅漢大爺に肩を押さえられた。河床の両側(cè)にどこまでも広がる高粱畑で、ときおり戀の相手をもとめる狐がたかぶった聲をあげた。その明かりは弱く、直徑五、六メートルの闇を明るくするだけだ。劉羅漢大爺はわが家に數(shù)十 年も奉公して、うちの酒造小屋のすべてをとりしきっていた。濃い紺色の空はどこまでも深く、緑の星がひときわ明るく輝いていた。高粱が赤く色づくと、馬の蹄ほどの蟹が群れをなして夜の干潟にはいあがり、草むらで餌をさがす。河辺の濕った干潟には、濃い緑の葦(あし)と薄緑のおおばこが密生している。おっかさんより河に夢(mèng)中なんだもの、と祖母は言った。ゆるやかな霧のかたまりのなかに、重くたれた高粱の首が揺れるのが見(jiàn)えた。 高粱畑の裏手へまわりこむと、 霧はいっそうよどんで、 量を増し、流動(dòng)感を失った。この田舎道で、わたしの祖母が數(shù)多くのつやっぽい悲喜劇の主役を演じたことを、父は知らない。道ははじめ、まっ黒な黒土で築かれていたのだが、ながいこと踏みつけられて、黒い色は底へ沈んでしまっていた。 4 すぐに、隊(duì)伍は高粱畑にわけ入った。 余司令の手が王文義の頸筋を離れる。 「咳なんぞしやがって」 「司令」 王文義は咳をこらえながら答えた。任副官がかれの尻に鞭をくらわすと、王文義は口をゆがめて一聲叫んだのだった。父は思い出した。興奮するとすぐに充血する、その男の大きな耳が思いうかんだ。誰(shuí)かの銃把が別の誰(shuí)かの銃把にぶつかった。田野にみなぎっていた、そのなまぐさいにおいはわたしの父の魂にしみとおり、その後のもっとはげしく、もっと殘酷な歳月のなかで、いつまでもかれに付きまとうことになる。犬どもはどっと逃げ散り、ずっと離れたところでウーウーと吠えたてながら、貪欲に死體を眺めている。息がつ まりようななまぐささ。一面の高粱はひっそりと立ち、月の光にひたる高粱の穂は、水銀にまぶしたようにきらきらと輝いていた。霧のなかを行軍しているうちに、父ははじめて、えたいの知れぬなまぐさいにおいをかぎつけた。人の足音に路傍の雑草がかすかに觸れあう音がまじる。かれらは殺し、奪い、國(guó)のために身命を投げうった。秋深い八月、果てしなく広がる高粱は広大な赤い血の海となる。高密県東北郷を憎みきっていた。男の子は墓碑の上に立ち、怒りにまかせて地べたに放尿してから、聲はりあげてうたった。父は船べりをつかむように、余司令につかまっていた。行く手には青みがかった白い霧のとばりがかかって、視線を阻んでいる。父は一つ身ぶるいした。祖母はあわせの上著をほおって、村はずれまで彼らを見(jiàn)送った。父は、伝奇的な英雄として後の世に名をとどろかす余占 鰲 (ユィ?チャンアオ)司令の遊撃隊(duì)とともに、 膠県?平度県間の公路で日末人の自動(dòng)車隊(duì)を待ち伏せ攻撃しに出かけたのだった。 「豆官(トウクァン)、義父(とう )さんの言うことを聞くんだよ」 父は黙って、祖母の大柄な身體をながめ、祖母のあわせの內(nèi)側(cè)から広がる溫かい香りをかいでいたが、突然ぞっとするような寒気に襲われた。 「さあ、行くぞ」 天と地の見(jiàn)きわめはつかず、周囲の風(fēng)景はぼんやりとかすみ、隊(duì)伍の亂れた足音はもうはるか彼方へ遠(yuǎn)ざかっていた。祖母の姿は岸のように遠(yuǎn)ざかり、霧は近づくにつれて海水のように湧き立った。山羊はゆっくりと墓の上の草をはむ。かつて、わたしは高密県東北郷に惚れこんでいた。この地に生きるわが同郷の人々は高粱を好み、毎年大量の高粱を植え育てた。數(shù)十年変わることなく、獲物をめざす暗赤色の男の群れは高粱の莖をぬって行き來(lái)し、網(wǎng)をしかけた。 村を出た隊(duì)伍は、せまい田舎道を進(jìn)んだ。道の両側(cè)の高粱畑からただよってくる淡い薄 荷(はっか)の香気と熟しきった高粱のほろ苦い香りは馴染み深く、めずらしくもない。明るい月がゆったりと昇った。流れ出た鮮血は広い高粱畑に注いで地上の黒土にしみ、二人は血と泤のぬかるみに足をとられた。そしてまた一発、犬の目が二つ消えた。 「行くぞ、おまえ !」 3 余司令は父に向って言い、二人は月の光を浴びて、高粱の茂みの奧へと歩みさった。前後でがさつな足音とあらい息が聞こえる。耳なれた咳の音だ。目をこらすと、視線が濃い霧をつき破って、咳きこみながら震える王文義の大きな頭が見(jiàn)えた。右向け前へ進(jìn)め―、王文義はおおはしゃぎで足踏みをしながら、どちらへ向きをかえるのかわからなかった。 余司令はさっと足を伸ばして、王文義の尻を蹴った。王文義の口のなかでヒューヒューと音がして、咳はたちまちとまった。父はそう感じた。その狹い田舎道は、晝間は白っぽい色をしている。通いなれた道、のちに日末の炭鉱での耐えがたい日々のなか で、父はしじゅうこの道の姿を思いうかべたのだった。わたしは知っている。あおのくと、大粒の水滴が一つ狙いさだめたように父の口へ入りこんだ。 父は墨水河で水遊びをして育ったが、その泳ぎ達(dá)者は天性のものだったらしい。墨水河の底にたまった泤は黒く光っており、油脂のようにやわらかだ。秋風(fēng)がたち、涼しくなると、雁の群れが「一」の字になったり、「人」の字になったりして、つぎつぎに單へ飛ぶ。夜は濃い葡萄色、秋の涼風(fēng)が川床を吹きぬける。八角の玻璃(はり)井戸―煉瓦が一つ欠けていて、牽牛はいらだちのあまり首をつり、織女は悲しんで河へ身を投げようとしている......その星々がみんな頭上にかかっていた。ランプのかさのブリキ板、ブリキ板にあいた孔から燈油の油煙がふき出てくる。父と羅漢大爺は蓑をはおって、ランプのそばにすわり、低く―ほんとうに低く咽び泣くような流の音を聴いた。蟹の群れがまあるく寄り集まってきて、ごそごそと落ち著かぬ円陣をつくる。明かりのなかへ入ると、蟹は這うのやめ、押しあいへしあいながら、あたりの地面をおおった。はおった蓑のなかで、父の身
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