【正文】 とのたまひて、籠にのりてつられ登りて窺ひ給へるに、燕尾をさげていたく廻るに合せて、手を捧げて探り給ふに、手にひらめるものさはる時に、「われ物握りたり。翁しえたり?！工趣啤⒕Vをひきすぐして、綱絕ゆる、即やしまの鼎の上にのけざまに落ち給へり。御目はしらめにてふし給へり。辛うじて息いで給へるに、また鼎の上より、手とり足とりしてさげおろし奉る。」と問へば、息の下にて、「ものは少し覺ゆれど腰なん動かれぬ。まづ脂燭さしてこ?！工?、御ぐしもたげて御手をひろげ給へるに、燕のまりおける古糞を握り給へるなりけり。」との給ひけるよりぞ、思ふに違ふことをば、かひなしとはいひける?！工纫娊oひけるに、御こちも違ひて、唐柜の蓋に入れられ給ふべくもあらず、御腰は折れにけり。貝をえとらずなりにけるよりも、人の聞き笑はんことを、日にそへて思ひ給ひければ、たに病み死ぬるよりも、人ぎき恥はづかしく覺え給ふなりけり。いと弱き心地に頭もたげて、人に紙もたせて、苦しき心地に辛うじてかき給ふ。これを聞きて、かぐや姫少し哀あはれとおぼしけり。 ８ 帝の懸想 さてかぐや姫かたち世に似ずめでたきことを、帝聞しめして、內侍中臣のふさ子にの給ふ、「多くの人の身を徒になしてあはざなるかぐや姫は、いかばかりの女ぞ。」との給ふ。竹取の家に畏まりて請じ入れてあへり。能く見て參るべきよしの給はせつるになん參りつる。」といひて入りぬ?！工趣い丐?、かぐや姫、「よき容にもあらず?！工趣い丐小ⅰ袱Δ郡皮猡谓oふかな?！工趣い丐?、かぐや姫答ふるやう、「帝の召しての給はんことかしこしとも思はず。うめる子のやうにはあれど、いと心恥しげに疎おろそかなるやうにいひければ、心のまにもえ責めず。」と申す?！护?、仰事ありつるものを、見奉らではいかでか歸り參らん。いはれぬことなし給ひそ?！竾酩窝鍪陇虮长肖悉錃ⅳ方oひてよかし。この內侍歸り參りて、このよしを奏す?！工趣谓oひて、止みにけれど、猶思しおはしまして、「この女をうなのたばかりにやまけん。顏容よしと聞しめして、御使をたびしかど、かひなく見えずなりにけり?！工妊訾护椁?。さりとも罷りて仰せ給はん。是を聞し召して仰せ給ふやう、「などか翁の手におほしたてたらんものを、心に任せざらん?！刮滔菠婴萍窑藲wりて、かぐや姫にかたらふやう、「かくなん帝の仰せ給へる。」といへば、かぐや姫答へて曰く、「もはらさやうの宮仕つかう奉まつらじと思ふを、強ひて仕う奉らせ給は消え失せなん。」翁いらふるやう、「なしたまひそ。さはありともなどか宮仕をし給はざらん?！工趣い??！护?、仕う奉らせて死なずやあると見給へ?！工趣い丐小⑽檀黏丐圃护?、「天の下の事はとありともかゝりとも、御おん命の危きこそ大なるさはりなれ?！工趣?、參りて申すやう、「仰の事のかしこさに、かの童を參らせんとて仕う奉れば、『宮仕に出したてなば死ぬべし。造麿が手にうませたる子にてもあらず、昔山にて見つけたる。」と奏せさす。御み狩の行幸みゆきし給はんやうにて見てんや。造麿が申すやう、「いとよきことなり?！工茸啶工欷?、帝俄に日を定めて、御狩にいで給ひて、かぐや姫の家に入り給ひて見給ふに、光滿ちてけうらにて居たる人あり。」とおぼして、近くよらせ給ふに、逃げて入る、袖を捕へ給へば、おもてをふたぎて候へど、初よく御覽じつれば、類なくおぼえさせ給ひて、「許さじとす。」と奏す。猶率ておはしまさん。「はかなく、口をし?！工趣埭筏?、「さらば御供には率ていかじ。それを見てだに歸りなん。帝なほめでたく思し召さることせきとめがたし。さて仕うまつる百官の人々に、あるじいかめしう仕う奉る。御おん輿に奉りて後に、かぐや姫に、かへるさのみゆき物うくおもほえてそむきてとまるかぐや姫ゆゑ御返事を、葎はふ下にもとしは經(jīng)ぬる身のなにかはたまのうてなをもみむこれを帝御覽じて、いと歸り給はんそらもなくおぼさる。常に仕う奉る人を見給ふに、かぐや姫の傍かたはらに寄るべくだにあらざりけり?！工趣埭筏堡肴摔?、かれに思しあはすれば人にもあらず。よしなくて御方々にもわたり給はず、かぐや姫の御おん許にぞ御文を書きて通はさせ給ふ。 ９ かぐや姫の升天 かやうにて、御心を互に慰め給ふほどに、三年ばかりありて、春の初より、かぐや姫月のおもしろう出でたるを見て、常よりも物思ひたるさまなり。」制しけれども、ともすればひとまには月を見ていみじく泣き給ふ。近く使はる人々、竹取の翁に告げていはく、「かぐや姫例も月をあはれがり給ひけれども、この頃となりてはたゞ事にも侍らざめり。よく見奉らせ給へ。うましき世に。かぐや姫、「月を見れば世の中ころぼそくあはれに侍り?！工趣い?。これを見て、「あが佛何事を思ひ給ふぞ?！工趣い丐?、「思ふこともなし。」といへば、翁、「月な見給ひそ?！工趣い丐?、「いかでか月を見ずにはあらん。夕暗ゆふやみには物思はぬ氣色なり。是をつかふものども、「猶物思すことあるべし。八月はつき十五日もちばかりの月にいで居て、かぐや姫いといたく泣き給ふ。これを見て、親ども「何事ぞ。かぐや姫なくいふ、「さきも申さんと思ひしかども、『かならず心惑はし給はんものぞ?！氦丹韦撙浃?。おのが身はこの國の人にもあらず、月の都の人なり。今は歸るべきになりにければ、この月の十五日に、かのもとの國より迎に人々まうでこんず?！工趣い窑?、いみじく泣く。竹の中より見つけきこえたりしかど、菜種の大おほきさおはせしを、我丈たち并ぶまで養(yǎng)ひ奉りたる我子を、何人か迎へ聞えん?！工趣い窑?、「我こそ死なめ。かぐや姫のいはく、「月の都の人にて父母ちはあり。かの國の父母の事もおぼえず。いみじからん心地もせず、悲しくのみなんある。」といひて、諸共にいみじう泣く。この事を帝きこしめして、竹取が家に御使つかはさせ給ふ。この事を嘆くに、髪も白く腰も屈り目もたれにけり。」と見ゆ?！工妊訾唤oふ。たふとく問はせ給ふ?！工壬辘埂！工问迦栅猡沥韦宜尽─搜訾护啤仁工摔仙賹⒏咭挨郡未髧趣い杖摔颏丹筏?、六衞のつかさ合せて、二千人の人を竹取が家につかはす。この守る人々も弓矢を帶して居り。嫗涂籠の內にかぐや姫を抱きて居り。翁のいはく、「かばかり守る所に、天あめの人にもまけんや?！故丐肴恕─韦い悉?、「かばかりして守る所に、蝙蝠かはほり一つだにあらば、まづ射殺して外にさらさんと思ひ侍る。翁これを聞きて、たのもしがり居り。弓矢して射られじ。相戰(zhàn)はんとすとも、かの國の人來なば、猛き心つかふ人よもあらじ。さが髪をとりてかなぐり落さん。」と腹だちをり。屋の上に居る人どもの聞くに、いとまさなし?！洪Lき契のなかりければ、程なく罷りぬべきなめり。親たちのかへりみをいさかだに仕う奉らで、罷らん道も安くもあるまじきに、月頃もいで居て、今年ばかりの暇を申しつれど、更に許されぬによりてなんかく思ひ嘆き侍る。かの都の人はいとけうらにて、老いもせずなん。さる所へまからんずるもいみじくも侍らず?！工趣い窑破?。麗しき姿したる使にもさはらじ。かる程に宵うちすぎて、子の時ばかりに、家のあたり晝のあかさにも過ぎて光りたり。大空より、人云に乘りておりきて、地つちより五尺ばかりあがりたる程に立ち連ねたり。辛うじて思ひ起して、弓矢をとりたてんとすれども、手に力もなくなりて、痿なえ屈かまりたる中うちに、心さかしき者、ねんじて射んとすれども、外ざまへいきければ、あれも戰(zhàn)はで、心地たしれにしれて守りあへり。飛車とぶくるま一つ具したり。その中に王とおぼしき人、「家に造麿まうでこ。いはく、「汝をさなき人、聊なる功徳を翁つくりけるによりて、汝が助にとて片時の程とて降しを、そこらの年頃そこらの金賜ひて、身をかへたるが如くなりにたり。罪のかぎりはてぬれば、かく迎ふるを、翁は泣き嘆く、あたはぬことなり?！工趣い铡Ｆ瑫rとの給ふに怪しくなり侍りぬ?！工趣い??！工壬辘护?、その返事はなくて、屋の上に飛車をよせて、「いざかぐや姫、穢き所にいかでか久しくおはせん。立て籠めたる所の戸即たゞあきにあきぬ。嫗抱きて居たるかぐや姫外とにいでぬ。 竹取心惑ひて泣き伏せる所に寄りて、かぐや姫いふ、「こゝにも心にもあらでかくまかるに、升らんをだに見送り給へ。我をばいかにせよとて、棄ては升り給ふぞ?！工?、泣きて伏せれば、御心惑ひぬ。戀しからんをり、とり出でて見給へ。脫ぎおく衣きぬをかたみと見給へ。見すて奉りてまかる空よりもおちぬべき心ちす。天人あまびとの中にもたせたる箱あり。又あるは不死の藥入れり。きたなき所のもの食きこしめしたれば、御心地あしからんものぞ。その時にかぐや姫「しばし待て。物一言いひおくべき事あり。天人「おそし。かぐや姫「物知らぬことなの給ひそ。あわてぬさまなり?！工趣?、今はとて天のはごろもきるをりぞ君をあはれとおもひいでぬる とて、壺の藥そへて、頭中將を呼び寄せて奉らす。中將とりつれば、ふと天の羽衣うち著せ奉りつれば、翁をいとほし悲しと思しつる事も失せぬ。その後翁?嫗、血の涙を流して惑へどかひなし。誰が為にか何事もようもなし。中將人々引具して歸り參りて、かぐや姫をえ戰(zhàn)