【正文】 事例研究（ミクロ経済政策 Ⅲ ?解決策分析）最終報告 FTTH 市場の競爭構(gòu)造が小売料金に與える影響に関する分析 東京大學公共政策大學院２年 巖井 大輔 小玉 豪人 坂下 秀和 吉田 泰己 1 FTTH 市場の競爭構(gòu)造が小売料金に與える影響に関する分析（要旨） 近年 DSLに代わり ブロードバンドサービスの普及を牽引する FTTH市場（ Fiber To The Home）では、２種類の事業(yè)者間競爭の形態(tài)が存在する。第１の形態(tài)は、競爭事業(yè)者（ NTT東西以外の事業(yè)者）が NTT 東西の光ファイバ設備を接 続料を支払って借りることにより FTTH サービスを提供する「サービスベース競爭」であり、第２の形態(tài)は、競爭事業(yè)者が NTT 東西の光ファイバ設備を利用せず、自ら光ファイバを敷設することで利用者に FTTH サービスを提供する「設備ベース競爭」である。 FTTH 市場では、両方の形態(tài)の競爭が同時進行しており、しかも、地域によって 、また FTTH の提供タイプの別（戸建て?ビジネス向け、集合住宅向け）によって、 それぞれの形態(tài)の競爭の 進展 狀況は異なる。 FTTH の提供タイプ を特に區(qū)別せずに大まかに見た場合、 例えば関東地方では、設備ベ ース競爭よりもどちらかといえばサービスベース競爭が優(yōu)位であり、関西地方では、サービスベース競爭よりも設備ベース競爭の方が優(yōu)位な狀況にある。 また、 FTTHの提供タイプ別に見れば、戸建て向け では設備ベース競爭が中心であり、集合住宅向けでは設備ベース競爭に加えサービスベース競爭も一定程度進展していると考えられる。 本分析は、設備ベース競爭やサービスベース競爭が進展しているほど、 FTTH 価格は低廉化していると実証的に結(jié)論できるかについて、 20xx 年、 20xx 年の 2期間の市場シェアデータ、実勢小売価格データを利用し 、 戸建て向け FTTH、集合住宅向け FTTH の両方について、 回帰モデルにより分析を行った。一般的には、いかなる形態(tài)の競爭であれ、競爭の進展（競爭事業(yè)者の シェアの拡大）により小売料金は低廉化するものと予想される 。 実際に回帰分析を行った結(jié)果、當該 2期間においては、 戸建て向け FTTH 市場において 、 (?)設備ベース競爭の小売料金に対する低廉化の効果は統(tǒng)計的に有意でなく、(?)サービスベース競爭については、 NTT 東西がサービスベース競爭でシェアを拡大するほど料金が低廉化する 効果が統(tǒng)計的に有意な形で認められた （ただし、戸 建て向けFTTH 市場でサービスベース競爭はそれほど進展していないと考えられるため、明確に結(jié)論付けることは 困難 ） 。 また、 戸建て向け FTTH 市場において 、十分なサービスベース競爭が起こっていないことを仮定し、サービスベース競爭をコントロールしなかった場合、設備ベース競爭の小売料金に対する値下げ効果が統(tǒng)計的に有意な形で確認された。 集合住宅向け FTTH においては、 (?) 設 備ベース競爭の小売料金に対する低廉化の効果は一定程度あり（統(tǒng)計的に有意）、 (?) サービスベース競爭については、料金低廉化効果は統(tǒng)計的に有意 ではなかった。 特に集合住宅向け FTTH 市場において、設備ベース競爭の小売料金低廉化効果が確認されたことから、政策的に設備ベース競爭を推進することは一定の合理性があると考えられる。他方、サービスベース競爭に料金低廉化効果がないとまでは今回の回帰分析をもって結(jié)論することは困難であり、今後のデータの蓄積等を待って長期間のパネルデータ分析を行うことが適當である。 2 FTTH 市場の競爭構(gòu)造が小売料金に與える影響に関する分析 目次 はじめに .................................................................................................... 3 第 1 章 FTTH市場概況 .................................................................................. 4 FTTH 契約數(shù)の推移等 ...............................................................................................4 地域ブ ロック別の契約數(shù) ............................................................................................5 事業(yè)者別の FTTH 契約數(shù)シェア .................................................................................6 小括 ..........................................................................................................................8 第 2 章 FTTH市場の競爭構(gòu)造 .......................................................................... 9 . 設備ベース競爭とサービスベース競爭 .....................................................................9 . NTT 東西のみに課される接続規(guī)制 ...........................................................................9 . 都道府県ごとの設備ベース競爭 及びサービスベース競爭の進展度 ........................... 10 . 地域別及び提供タイプ別のシェアに見る競爭狀況 .................................................. 13 . 小括 ..................................................................................................................... 15 第 3 章 問題設定 ....................................................................................... 16 FTTH 市場の競爭構(gòu)造を分析する必要性 .................................................................... 16 競爭構(gòu)造と小売料金の関係 ....................................................................................... 18 問題設定 .................................................................................................................. 21 第 4 章 回帰分析 ........................................................................................ 23 回帰モデルの設定と仮説 .......................................................................................... 23 A) 回帰モデルの設定 ................................................................................................. 23 B) 仮説（係數(shù)の符號の想定） ....................................................................................... 24 推計方法 .................................................................................................................. 25 戸建て向け FTTH 市場に関する分析 .......................................................................... 26 集合住宅向け FTTH 市場に関する分析 ...................................................................... 29 小括 ........................................................................................................................ 31 第 5 章 結(jié)論と課題 ..................................................................................... 33 3 はじめに 日本のブロードバンドサービス 1は、 20xx 年頃から、 規(guī)制による競爭環(huán)境の整備や活発な新規(guī)事業(yè)者の參入により DSL2を中心に 普及が拡大し 、世界で有數(shù)の低廉な料金で高速なインターネット接続環(huán)境を利用者に提供してきた。しかし、近年では、 DSL からFTTH3に需要がシフトしており、 FTTH がブロードバンドサービスの事業(yè)者間競爭の主戦場となっている。 本論は、 FTTH 市場における事業(yè)者間競爭が小売料金を引き下げる効果を有しているか否かについて分析を行うものであり、 5つ の部分により構(gòu)成される。 第 1章 では 、分析の前提となる情報を整理すべく、日本の FTTH 市場の現(xiàn)況について概観し、第 2章で2 つの競爭概念（設備ベース競爭とサービスベース競爭）を 明確化 し、 FTTH 市場における 設備ベース競爭 を表す指標、サービスベース競爭を表す 指標 等 について解説を行う。第 3章で、 2つの競爭概念と小売料金の関係について問題設定を行い、第 4章で回帰モデルを利用した 分析を行い、最後の章で分析の総括を 行うこととする。 1 広帯域でのインターネット接続を提供する サービスであり、 FTTH、 DSL、 CATV 等のサービス形態(tài)が存在する。 2 Digital Subscriber Line の略。電話の加入者回線（メタル回線）を利用して、広帯域のインターネット接続を提供するサービス。上り?下りで通信速度の異なる ADSL等、複數(shù)の提供形態(tài)が存在する。 例えば、 NTT 東 西の「フレッツADSL」、ソフトバンクの「 yahoo!!BB」など。 3 Fiber To The Home の略であり、光ファイバを直接加入者宅へ引き込む ことにより、広帯域のインターネット接続を提供するサービスである 。 FTTH は DSL と比較して、電気信號による伝送容量の物理的限界を超え、メタル回線よりもはるかに広帯域かつ安定的な通信が実現(xiàn)できる。 例えば、 NTT東西の 「 B フレッツ」、 KDDIの 「ひかり one」、ケイ?オプティコムの 「 eo 光」など 。 4 第 1 章 FTTH 市場概況 本章では、 今回の 分析の対象となる FTTH 市場について概観し、 その市場概況 を明らかにすること を目的とする。 FTTH契約數(shù)の推移等 まず、 FTTH がブロードバンドサービスとして、 DSL、 CATV4といった他の通信方式と比較して、 近年普及が拡大していることを確認しておこう。 図 によれば 、 近年、DSL 契約數(shù)の増加率は徐々に失速しており、 06 年 12 月末に純減に転じている（ 06 年 9月末 1,439 萬→ 12 月末 1,423 萬） のに対して 、 FTTH 契約 數(shù)はこの 4年間で順調(diào)に増加している 。 FTTH 契約數(shù)が順調(diào)に増加していることを更に明らかに示すのが図 。 FTTHの契約數(shù)は 07年 9月で 1,051 萬にまで拡大している 。 ところで、 FTTHの 提供 タイプ は、(1)戸建て?ビジネス向けと (2)集合住宅 （マンション等） 向けに大別され、図 ば、戸建て?ビジネス向けと集合住宅向けの 割合はそれぞれ 53％ 、 47％ となる。 図 ブロードバンドサービスの契約者回線數(shù)の推移 (出所 )総務省「電気通信事業(yè)分野の競爭狀